中小企業基盤整備機構がこのほど公表した「中小企業のDX推進に関する調査(2023年)によると、DXに取り組んでいる中小企業は全体で14.6%と低く、「検討している」「必要だと思うが取り組めていない」と、“様子見”の企業が約5割を占めていることが分かった。
「取り組む予定はない」も37.2%と高い割合となっている。建設業においても「すでに取り組んでいる」企業はわずか9%で、「検討している」(18%)、「必要だと思うが取り組めていない」(29%)、「取り組む予定はない」(44%)と答えた企業が大半だった。
同調査の対象は全国の中小企業1000社の経営者・経営幹部など。うち建設業は100社。調査期間は2023年7月28日~8月1日。
実際に取り組んでいる(または検討している)DXの内容については、「文書の電子化・ペーパレス化」(64.4%)が最も多く、前回調査よりも26.9ポイント増えた。「営業活動・会議のオンライン化」も47.1%と4割超に達している。他に、「テレワークの実施」(31.1%)、「基幹システムの構築・導入」(30.4%)や、「RPAの導入」(19.2%)、「AIの活用」(13.5%)なども一定数見られた。
クラウドサービスの活用では、「データの社内情報共有(オンラインストレージ)」(58.9%)、「社内のスケジュール・タスク管理」「サーバーやネットワークなどを利用できるサービス」(各56.3%)と答えた企業が多かった。
導入後に成果が出たかについては、「成果が出ている」(21.9%)、「ある程度成果が出ている」(54.8%)を合わせて8割近くとなったが、「成果が出ている」と答えた企業は前回調査から11ポイント減少している。「成果が出ている」と答えた企業は20人以下の企業が多かった(26.1%)。
DXへの戸惑い抱く小規模企業
DXに取り組むに当たっての課題については「ITに関わる人材が足りない」(28.1%)、「DX推進に関わる人材が足りない」(27.2%)、「予算の確保が難しい」(24.9%)などの回答が多かった。さらに従業員規模20人以下では、「何から始めてよいかわからない」(27.7%)、「予算の確保が難しい」(26.2%)、「具体的な効果や成果が見えない」(19.8%)との回答が上位を占めている。
こうした結果を受けて同機構は、「紙媒体をベースとした業務を行っていたり、何から始めてよいかわからないと答えるなど、いまだDXの“とば口”にさえ立っていない企業も少なくない」と分析。経営資源に限りのある中小企業の場合、「受発注業務」「生産・品質管理」「営業支援」などの業務でクラウドサービスをうまく活用できるかが鍵になるとした。
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