積水化学工業(東京都港区)住宅カンパニーと、リノべる(東京都港区)は10月24日、既存マンションのZEH水準リノベーションの提供を開始すると発表した。両社は4月の資本業務提携以降、サステナブルな循環型社会の実現を目指し、パートナーシップを構築してきた。今回の取り組みは、協業第1弾として展開する。
ZEH水準リノベーションの普及には、費用対効果のわかりにくさや設計等のノウハウ不足、各種認証や補助金手続きの煩雑さが課題となっていたことから、今回、事前物件チェックから設計・施工、温熱計算・BELS(第三者認証)申請、補助金の申請サポート・アドバイスを標準パッケージとしてワンストップで提供する。断熱技術は、積水化学の「マルリノ」の特許断熱工法を標準採用し、ZEH水準の断熱性・省エネ性の実現と結露やカビの発生リスクを軽減する。
設計着手前に概算工事金額と補助金について提示・助言することで費用対効果の見通しがたてやすく、見学会や勉強会、ツールの提供を通してZEH水準リノベーションの認知啓蒙を図る。法人の買取再販事業には、顧客向け説明資料を提供して販売協力するほか、販売業務を受託することも可能。
区分マンションの買取再販事業、個人向けリノベーション請負事業、法人向けリノベーション請負事業の3つのチャネルで、高断熱化・高効率化の基準を満たす「ZEH Oriented」に適合した省エネ性能向上リノベーションを提供、普及を推進していく。
10月にリノべるの買取再販事業「リノベる。U」において、第1号案件が竣工。神奈川県川崎市の区分所有マンション「グリーンシティ鷺沼」(1982年築)の1室を、BELS認証「ZEH Oriented」を取得したリノベーション済みマンションとして販売している。同案件は、フルスケルトンに解体し、給排水管や配線、内装、設備等をすべて新設。高断熱高気密に加え、高効率エアコンや省エネ高効率給湯器、高断熱浴槽等、給湯・給水の配水方式にヘッダー方式を採用した。共働きファミリーを想定した2LDKで、間取りや内装には「リノベる。」で培ったアイデアやノウハウが活かされている。一次エネルギー消費量を省エネ基準より26%削減し、リノベーション前と比較すると一次エネルギー消費量、CO2排出量は31%削減、光熱費は30%削減を見込む。
同案件では、ZEH水準リノベーションへの追加費用(300万円弱)と、光熱費削減分(年間9万3085円削減、ローン返済額に換算すると約300万円に相当)が同等になるため、住宅ローン減税上乗せ措置や各種補助金、金利優遇などが、そのまま顧客の経済的メリットとなる。販売価格は4980万円。
今後、ZEH水準リノベーション認知啓蒙イベントを実施。10月29日には個人向けに「断熱+省エネで中古をさらにお得で快適に!自由設計で内装や設備は自分らしく!中古マンション購入+断熱リノベーション【基礎講座】」、11月9日には法人向けに「再販事業者向けZEH 水準リノベーションセミナー」を開催する。
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