厚生労働省が10月10日に公表した2022年の「病院の耐震改修状況調査結果」によると、病院の耐震化率は79.5%(8085病院中6425)で、前年調査より0.8ポイント増加した。その一方で、「防災・減災、国土強靱化のための3カ年緊急対策」(2018年12月閣議決定)で定められた、2020年度までに病院全体の耐震化率を80.0%とする目標は、いまだ達成していない。
この調査は2022年10月に各都道府県に調査を依頼し、その回答を取りまとめたもの。回答率は99.1%。「耐震性がない建物」とは、震度6強程度の地震により倒壊または崩壊する危険性がある建物のことを指している。
調査対象となった病院のうち、「すべての建物に耐震性がない」のは110病院。都道府県別では「東京都」(28)、「大阪府」(8)、「北海道」「福岡県」(7)などで多かった。また、耐震診断をしていない病院は978病院あり、「大阪府」(90)、「北海道」(79)、「福岡県」(75)などで対応の遅れが目立っている。
一方、地震発生時に医療拠点となる災害拠点病院、救命救急センターの耐震化率は95.4%(778病院中742病院)まで進み、前年調査より0.8ポイント増加した。「国土強靱化アクションプラン2015」で定めた、2018年度までに耐震化率を89.0%とする目標は2017年に達成している。「すべての建物に耐震性がない」病院はなく、「耐震診断未実施」が1病院、「一部のみ耐震性がある」病院が35病院となっている。
病院の耐震化については、厚生労働省や国土交通省が支援を行っているほか、東京都、大阪府、神奈川県などの各自治体においても耐震診断・耐震化改修工事費用を支援する補助事業を実施している。
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