林野庁が新たに策定した「全国森林計画」が10月13日に閣議決定された。今回の計画では最新の森林資源の現況を踏まえ、新たな伐採・造林などの計画量を設定。盛土などの安全対策、花粉発生源対策の加速化など、情勢の変化に応じた施策を盛り込んだ。この計画は15年を1期として、5年ごとに見直しを行っているもので、2024年4月から2039年3月までの15年間を新たな計画期間としている。
森林の整備・保全計画では、整備目標とする森林面積を、育成単層林は980.1万ha、育成複層林は172.7万ha、天然生林は1349.7万haに設定。計画量は伐採立木材積が8億8899万m3(主伐5億4458万m3/間伐3億4441万m3)。造林面積のうち人工造林が137.5万ha、天然更新が79.2万ha。林道開設量を1万4600kmに設定した。
盛土などの安全対策では、「宅地造成及び特定盛土等規制法」に基づき、集水性の高い場所における盛土は極力避けるよう明記。特に太陽光発電設備を設置する場合には、小規模な林地開発でも土砂流出のリスクが高くなることから、開発行為の許可基準の適正な運用や地域住民への配慮を求める。
合法木材の取扱数量を増加
森林施業の合理化に関する項目では、木材加工・流通体制の整備を行い、建築、土木、エネルギーなどのニーズに即した品質性能を有する木材製品を、低コストで安定的に供給できる体制を整える。また、国内市場で木材関連事業者が扱うすべての木材が合法性確認木材となるよう、2023年5月に公布された改正「クリーンウッド法」(合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律の一部を改正する法律)に基づいて、合法性の確認や合法木材の取扱数量の増加に取り組む。
花粉発生源対策では、対策の加速化を図るため、沖縄を除くほぼ全国で花粉の少ない苗木(無花粉苗木、少花粉苗木、低花粉苗木、特定苗木)の植栽、広葉樹の導入などを行う。
森林資源情報の整備・活用では、航空レーザ測量などリモートセンシングによる高精度な森林資源情報や詳細な地形情報を整備し、現地調査の省力化を図る。さらに、適切な伐採区域の設定、林道整備の効率化、崩壊リスクが高い箇所への治山施設の配置などを進める。
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