東京都は10月13日、既存建物の気候変動対策に係る制度の改正案(最終案)を公表した。2025年度以降に適用される、温室効果ガスのキャップ&トレード制度の「第四計画」(2025~2029年度)および「地球温暖化対策報告書制度」の一部を改正することで、ゼロエミッションの実現に向けた取り組みを加速させる考え。
温室効果ガスのキャップ&トレード制度では、報告の対象となっている排出活動の範囲に、非化石燃料(水素・アンモニアなど)や大気中の熱、その他の自然界に存する熱、再エネによる自家発電での使用量を追加する。同項目は報告のみで削除義務はない。
温室効果ガスの削減義務率については、事業所の特性や今後の省エネ余地などを考慮。オフィスビルなどは50%、オフィスビルのうち他者から供給を受ける事業所および工場は48%とする。例外として、医療施設は2%減、電化率20%未満の事業所は3%減、新規参入事業所は41%または39%の緩和措置を実施する。トップレベル認定を受けた事業所の削減義務率の減少は廃止する。
他にトップレベル事業所認定制度では、従来よりも高い認定区分を追加し、3つの認定区分に変更。新築建築物の設計段階で高い評価を得た建築物については、「建物及び設備性能に関する事項」の評価を建築物の外皮性能、設備性能に置き換えて評価できるようにする。
達成水準を事業所が選択
地球温暖化対策報告書制度では、「省エネ」「再エネ」の利用について2030年度の達成水準を各事業所が選択する内容に。
省エネ利用では、①都が示す「基準年表」を参考に、都内全事業所のエネルギー消費量の合計値を2030年度の目標削減率以上に削減、②都内の全事業所のエネルギー消費原単位がベンチマークのレンジAを達成―のいずれかを選択する。再エネ利用では、①都内全事業所の利用電力の再エネ電力割合を50%とする、②都内の全事業所のうち再エネ電力100%事業所の割合を20%とする―のいずれかを選択する。
2030年以前に「2030年の達成水準」に到達した事業者については、優良事業者として評価。CO2排出(実排出係数)のカーボン・ベンチマーク、エネルギー・ベンチマーク、再生可能エネルギー電気利用レベルの3つの指標を活用し、優良事業所における対策を「見える化」する体制を整える。
■東京都「都民の健康と安全を確保する環境に関する条例に基づく気候変動対策に係る主な制度の2025年度からの取組」について
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