日銀は10月19日、秋の支店長会議を開き、全国を9地域に分けて景気動向を分析した地域経済報告(さくらリポート)をまとめた。景気判断は6地域で上方修正し、北海道、東北、四国は「持ち直している」、北陸、関東甲信越、中国は「緩やかに回復している」とした。コロナ禍で制約されていた経済活動の再開や訪日客の増加で、外食や旅行などのサービス消費が好調に推移。設備投資も堅調だった。
東海、近畿、九州・沖縄の3地域については、判断を据え置いた。
日銀は、海外経済の回復ペースが鈍化していることや物価上昇の影響を受けつつも、「すべての地域で、景気は持ち直し、ないし、緩やかに回復している」と分析している。
項目別では、個人消費の判断を北海道、東北など5地域で引き上げた。百貨店の高額品に加え、猛暑でエアコンや飲料などの消費も好調だった。ただ、日銀がヒアリングした企業からは、物価高が続き消費者の節約志向が強まっているとの指摘も出た。
設備投資の判断は、関東甲信越と中国の2地域で上方修正した。省力化やデジタル化などの投資が進んだ。
雇用・所得面では、多くの地域で人手不足感が強まっている。来年度の賃上げについて企業からは「現状の経営状況であれば来年度も継続できる」(金沢のはん用機械)、「コスト上昇が利益を下押しする中、今後も継続的なベースアップを実施できるかは不透明」(甲府の食料品)と強弱入り交じる声が出ている。
中島健至大阪支店長は会議後に記者会見し、個人消費の先行きについて「雇用・所得環境の改善が継続するかどうかに大きく依存する」と述べた。
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