東京建物(東京都中央区)は、宗教法人三津寺(大阪市)との共同事業により、寺院・ホテル・商業施設一体型複合施設「東京建物三津寺ビルディング」(大阪市中央区)を9月に竣工した。
地下鉄御堂筋線「心斎橋」駅と「なんば」駅の中間地点に位置する七宝山大福院 三津寺(1808年建立)の本堂の保存と、1933年建設の庫裏の老朽化に対応するため、プロジェクトを展開。三津寺が所有する土地に定期借地権を設定し、東京建物が借地権者として寺院一体型のホテル・商業施設複合計画を開発することで、土地が持つポテンシャルを引き出し、三津寺の抱える課題の解決を実現した。
両者は共同事業者として「開かれた三津寺」をコンセプトに開発計画を進行。本堂を新築建物の3層吹き抜けピロティに曳家し、寺社の上部容積を新築建物に活用する都市型寺院の新たなプロトタイプを形成した。再建においては、軒の修復、向拝(唐破風)を撤去して1933年以前の姿に戻したほか、部材の一部を境内の出入口の装飾に転用することで、記憶・文化の継承を図った。庫裏には、茶室や仏像・仏画の展示ギャラリーを配置し、檀信徒の交流の場として活用する予定。
本堂・庫裏を訪れる参拝客と、本堂の境内空間を通ってエントランスにアプローチするホテル利用者が緩やかに交錯することで、建物を訪れる人に印象深い体験を提供する。御堂筋の新たなランドマークとしてにぎわいを生み出し、観光客や地域の人々に仏教文化を体感してもらうことで、歴史や文化の次世代への継承に貢献したいとしている。
同物件は、東京建物がプロジェクトマネジメントを担い、事業スキームの構築および建物開発を主導した。同計画のパートナーである大成建設(設計者・施工者)、カンデオ・ホスピタリティ・マネジメント(賃借人・ホテル運営者)とともに計画を実現。テナントとして入居する「カンデオホテルズ大阪心斎橋」は、11月26日に開業する。
三津寺では11月26日に竣工を祝う落慶法要を予定。11月27日~12月3日には、三津寺の境内や庫裏の内覧および特別参拝を実施する。
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。