鹿児島大学は浴室内での突然死を予防するため、研究成果に基づく「入浴死警戒(アラート)」を、11月から公開すると発表した。
研究により得た「浴室内突然死が発生しやすい条件」をもとに、危険度合いに応じて「警戒」「注意」「油断禁物」を自動で地図上に表示。突然死が起こりやすい日に入浴を控えるよう警戒情報を発令する。対象は鹿児島県内の各区域(19カ所)。鹿児島県内で入浴死が減るなど、良い成果が得られた場合には、他県にも広めることを想定している。
このアラートは、同大学大学院医歯学総合研究科の林敬人教授らの研究グループが開発。浴室内突然死が発生しやすい環境温度を特定し、その成果を2023年2月、国際学術雑誌「Scientific Reports(サイエンティフィック・リポーツ)」に発表した。
日内気温差が大きく影響
同研究グループによると、鹿児島県内では浴室内突然死が毎年約190件発生。その数は交通事故死の約2.5倍に上っている。そのうち65歳以上の高齢者が9割を占め、さらにそのほとんどが自宅の浴槽内で死亡していた。発生時期は12~2月に集中。発生時刻は16~20時が約半数で、入浴前に飲酒していた例は4.3%(115例)と少なかった。
そこで、入浴死が発生した日の各環境気温(最高気温/最低気温/平均気温/日内気温差)に関連性がないかを分析。その結果、最高気温・最低気温・平均気温が低ければ低いほど、日内気温差が大きければ大きいほど、入浴死の発生が多くなることを突き止めた。
入浴死アラートでは、各地域の「翌日の予想最高気温」「予想最低気温」「予想日内気温差」の情報を活用。①最高気温が危険な温度を下回る、②最低気温が危険な温度を下回る、③日内気温差が危険な温度を上回る―の3指標のうち、3つとも満たす場合を「警戒」、2つ満たす場合を「注意」、1つ以下の場合を「油断禁物」とする。アラートは特設サイト上で毎日公開する。
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