帝国データバンク(東京都港区)はこのほど、10月1日にスタートしたインボイス制度(適格請求書等保存方式)に対する企業の対応状況を調査した結果を発表した。有効回答企業数は1494社。
インボイス制度がスタートして間もない時点(10月6日~11日)で、「順調に対応できている」と回答した企業は65.1%で、3社に2社が順調なスタートを切っていることがわかった。一方、「対応がやや遅れている」は28.5%、「対応が大幅に遅れている」は3.1%だった。
規模別では、「順調に対応できている」企業は「大企業」が71.5%に対し「中小企業」は64.2%、「対応がやや遅れている」は「大企業」が24.4%、「中小企業」は29.1%だった。中小企業からは「システム変更にお金をかけられない」「処理内容が増え、少ない人数で対処するには限界がある」などの声が寄せられた。
インボイス制度導入にともなう懸念事項(現在/今後)について聞いたところ、91.0%が「懸念事項あり」と回答。内容は、「業務負担の増加(他業務への影響含む)」が71.5%で最も高く、「社内での理解・連携不足」(51.0%)、「仕入先への対応」(50.1%)、「請求書の受領時のミス」(36.1%)が続いた。「費用の都合でシステム対応できない部分があるなど、今後の運用面でとにかく不安が多い」など、準備を進めて運用開始した企業でも不安を抱えているケースが多く、事務負担が増加しスタッフが疲弊しているなどの声が上がっている。
インボイス制度の導入にあたり、小規模事業者やフリーランスなどの免税事業者の動向が問題となったほか、課税事業者の事務負担の大幅な増加予想で混乱が生じたことから、同社は制度スタートから間もないタイミングで同調査を実施。概ね順調に対応しつつも、多くの企業が先行きに不安を抱えているという結果となった。
2024年1月からは新たに改正電子帳簿保存法の対応も必要になり、制度の定着には今しばらく時間を要することが予測される。制度に対応するなかで企業の不安や混乱が深まるケースが出てくることも考えられるため、同社は課題解決に向けたサポートに加え、デジタル化の推進につながる仕組みづくりが急がれるとしている。
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