環境省は、国内の工場や火力発電所などから排出される二酸化炭素(CO2)を人工衛星で観測し、民間企業にデータを提供する検討に入った。発電所で燃焼時に発生するCO2の排出量や自社保有林のCO2吸収量の推計に活用し、企業間の排出量取引に役立ててもらうことが考えられる。2030年代の提供開始を目指す。
環境省や宇宙航空研究開発機構(JAXA)などが開発した温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」は、宇宙から大気中の温室ガスを測定している。地上での測定に比べ、広範囲で観測できるのが特徴だ。現在は地球上の約5万6000地点を対象に直径10キロの範囲を観測しており、国別にデータを算出できる。
工場単位などでデータを集めるには数百メートル四方で観測する技術が必要とされ、環境省は2030年代までの実現を見込む。それを踏まえ、民間への観測データ提供を検討。製鉄や電力をはじめデータの需要が想定される企業や具体的な活用方法について、今年度中に整理する方針だ。
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。