地場工務店の社長Sさんが大手の住宅会社で現場監督として勤務していた頃の失敗談。築40年の木造住宅の大規模リフォームを担当することになり、工期、予算ともに余裕のない中で、工事を進めることに四苦八苦していたという。そんなさなかに建て主から設計変更を打診されたのだが…。
そのリフォームの現場では、営業部の部長が建て主と友人同士ということもあって、「工期、予算の厳守」がいつも以上に徹底されていた。「営業部長は会社の古株で、支社長の右腕的な存在。彼の言うことには誰も逆らえないという雰囲気があった」とSさん。怖い営業部長のご機嫌を損ねないよう、現場は職人も含めピリピリとした雰囲気でミスのないよう、進行されていた。
もう壁も張っているのに「窓を付けられないかねえ」
リフォームの内容としては、建物を軸組みだけのスケルトン状態にして耐震補強を施し、部屋数を減らしてその分、リビングを広くするというもの。間仕切り壁や水まわりの位置も変わり、新築同様に仕上げるということで、Sさんは様々な工種の協力業者を手配し、その日程調整に追われていた。
外装工事から断熱工事を終え、床・壁・天井の下地を張り直すという段階で、建て主がふらりと現場に現れた。Sさんが工程の状況についてひと通り、建て主に説明していると、建て主がふと「この廊下、ちょっと暗くないかねえ」と言い出した。
その箇所は・・・
この記事は新建ハウジング10月20日号9面(2023年10月20日発行)に掲載しています。
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