前号に続き、フォレストコーポレーション(長野県伊那市)の実践事例から、「人」と「現場」を基軸とする変化に強い経営手法を紹介する。変化のスピードが増し、先の見通しが不透明な市場環境で、“人材力”がこれまで以上にカギを握る。同社におけるGib制度のように、社員のモチベーションを高め、スキルアップや人間的な成長を促す仕組みの整備は、地域工務店にとっても不可欠だ。それは、今後さらに加速していくとみられる人材難時代において、“採用力”の強化と離職の抑止にも直結する。
前号で、移住者を家づくりの主要なターゲットに取り込んだことや若手の声から生まれた新しい営業手法の標準化など、“現場からの気づき”を経営に落とし込んだ事例を紹介したが、これらは一例に過ぎない。より大局的な視点で、こうしたケースを捉え直してみると、それは、大きなトレンドを指標としているだけだと、目まぐるしく変わる足元の市場環境や目の前にある限定的な需要・顧客ニーズを見逃し、置いてけぼりにされてしまうリスクがあることを示している。
例えば、長野県における移住者の増加のように、地域には家づくりにも密接に関連する固有の条件や需要があり、それはこれまでのように市場や業界の全体的なトレンドや動向をトレースするだけでは対応しきれない。私は、これからの工務店の生き残り策として、現場の気づきを素早く経営に反映させていく手法が有効なのではないかと考えている。
リーダー育成にも寄与
Gib制度は、目標達成という結果そのものよりも、目標設定の際のチームと個人の主体的なコミットメントや検証・改善におけるフィードバック、社長と社員による直接的なコミュニケーションを重視している。それによって・・・
この記事は新建ハウジング10月20日号6面(2023年10月20日発行)に掲載しています。
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