労働政策研究・研修機構(JILPT)がこのほど行った国内の監理団体・実習実施者・技能実習生に対する調査(中間結果)によると、実習生から人間関係に関するトラブルの相談を受けたことがある監理団体は約半数にのぼり、さらに実習先の変更を希望する「転籍」に関する相談を受けたことがある団体は約4割あることが分かった。
同調査は、「第11回技能実習制度・特定技能制度の在り方に関する有識者会議」での参考資料とするために国内の監理団体3626団体を対象に実施されたもの。回答数は1095件、回答率は30.2%。このうち建設業関係の22職種33作業の実習生を受け入れている団体は565団体。この会議では、新たな実習制度でどのように転籍を認めるかどうかを、議題の一つとして挙げている。
調査結果によると、1095団体のうち764団体が、実習生が母国語で相談対応できる常勤職員を雇用。相談の方法は、複数回答で「対面」が954団体、「電話」が854団体、「メールまたはSNS」が951団体となっている。相談可能な日数は、「毎日」が最多で732団体。母国語で対応できる職員が夜間休日にも相談に応じているところは859団体あった。
その中でいじめや人間関係に関するトラブルの相談を受けたことがあるのは、全体の52.3%に当たる573団体。「転籍」に関する相談を受けたことがあるのは491団体(44.8%)だった。このうち実際に転籍支援を行ったことがあるのは334団体となっている。
転籍支援の内容は、「傘下の他の実習先に交渉」が272件、「他の監理団体に交渉」が164件、「送出機関を利用」が115件、「外国人技能実習機構の実習先変更支援サイトを利用」が111件など。このうち移転先を探したが、実習生の希望にあった転籍先が見つからなかったのは197件で、相談された件数の約6割を占めた。
今秋にも最終報告書作成
委員の意見には、「転籍制限ありきではなく、人材育成の在り方を検討した上で、真に必要とされる場合に限るべき」、「欧米では人権とビジネスの観点から厳しくチェックされるため国際的な潮流に遅れないことが必要」、「過度な転籍はキャリア形成を阻害し、制度の趣旨に反する」などの意見が見られた。
同有識者会議では、今秋を目途に新たな実習制度に向けた最終報告書を取りまとめる予定。
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