世界最大の保険市場を運営する英ロイズ・オブ・ロンドン(ロイズ保険組合)は11日、気候変動に伴う異常気象により、今後5年間に世界で生じる経済的損失が総額5兆ドル(約745兆円)に上る可能性があるとの推計を発表した。穀倉地帯が被害を受け食料不足が深刻化すれば、各国は社会混乱に見舞われかねないと警告した。
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異常気象の深刻度を3段階に分けて107カ国への影響を分析した。その結果、国内総生産(GDP)でみた世界の経済的損失は深刻度が最も低いシナリオで3兆ドル、最も高いシナリオでは6倍近い17兆6000億ドルとなった。
異常気象が特定の地域に集中した場合、損失は中国本土や香港などの「大中華圏」が4兆5800億ドル、アジア太平洋が4兆5100億ドル、欧州が3兆4600億ドル、北米が2兆4600億ドルとなった。
ロイズは「異常気象や気候関連リスクによる世界の経済的損失のうち、現在保険でカバーされているのはその③分の1にすぎない」と指摘した。分析には英ケンブリッジ大の研究所も協力した。
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