環境省はこのほど、環境政策における今後の方向性を示す「第6次環境基本計画」の中間取りまとめを行った。「第5次環境基本計画」(2018年4月閣議決定)以降の社会変化を踏まえ、単に環境を保護するだけではなく、プラスの効果をもたらす取り組み(ネイチャーポジティブ)を進めることを目標として掲げた。中間とりまとめでは、今後の議論の基礎となる環境政策が果たすべき役割や政策の基本的な考え方などについてまとめられている。
人類の活動が地球の環境収容力を超え、自然資本の安定性を脅かしつつある今、2030年頃までの10年間に行われる選択に重要性が増している。こうした中、環境政策の展開の基本的な考え方としては、環境的に持続可能であると同時に、経済・社会においても健全であり、「Well-being/高い生活の質」「新たな成長」につながる経済社会システムであることが求められている。
そこで、第六次環境基本計画では、重点戦略として、①「新たな成長」を導く持続可能な生産と消費を実現するグリーンな経済システムの構築、②自然資本を軸とした国土のストックとしての価値の向上、③環境・経済・社会の統合的向上の実践・実装の場としての地域づくり、④「Well-being/高い生活の質」を実感できる安全・安心かつ健康で心豊かな暮らしの実現、⑤「新たな成長」を支える科学技術・イノベーションの開発・実証と社会実装、⑥環境を軸とした国益と人類の福祉に貢献する戦略的な外交・国際協調の推進―を設定した。重点戦略ごとの具体的な環境政策については、2023年度後半で審議する。
ローカルSDGsの実装へ
第4次、第5次で提示された「地域循環共生圏」の実装も進める。地域循環共生圏とは、地域資源を持続的に活用し、環境・経済・社会を良くする事業(ローカルSDGs)を生み出し続けることで、現在、全国で187の団体が取り組みを進めている。
地域循環共生圏の実現に向けては、▽人々のネットワーク形成や取組を支えるための中間支援体制の構築▽農山漁村・地方都市・大都市などの地域間で互いに支え合うネットワークを形成と各地域の持続性の向上▽地域経済を支える企業や金融機関とのパートナーシップの強化▽デジタル技術を活用した地域の魅力向上や環境・経済・社会課題の解決▽環境・経済・社会に大きなインパクトをもたらす事例の創出―などを推進する。
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