消防庁が10月2日に公表した消防法令違反対象物に関する調査結果によると、2023年3月31日時点での特定防火対象物の重大な違反数は1734件で、そのうちの4割が改修されないまま、3年以上が経過していることが分かった。このうち警告対象は222件、命令対象は60件、告発対象は10件となっている。
消防庁では建物を利用する人が、その建物の危険性を把握できるよう、立入検査で把握した 「重大な消防法令違反」 を公表している。対象は飲食店・百貨店・宿泊施設など不特定多数が利用する建物や、病院・社会福祉施設など避難が難しい人が利用する建物で、屋内消火栓、スプリンクラー設備、自動火災報知設備が設置されていない場合に違反としている。
今回の調査では、重大違反が指摘されてからの経過年数が「1年未満」が743件で全体の42.8%を占め、昨年調査時の678件を上回った。「1年以上3年未満」は344件、「3年以上5年未満」は351件、「5年以上10年未満」は136件、10年以上は160件となっている。設備別では、「屋内消火栓設備」が431件、「スプリンクラー設備」が89件、「自動火災報知設備」が1358件だった。
ワーストは大阪の155件
都道府県別では「大阪府」が155件で最多。次いで「東京都」121件、「長野県」116件、「沖縄県」115件、「福岡県」107件の順となっている。なお、設置義務の対象となっている建物数が、長野県では2万4269件、沖縄県では1万6494件と、大都市圏と比べて少ないにも関わらず、重大違反物数が全国で3位、4位となっている。大阪府の設置義務対象が5万8604件、東京都が7万7301件であることから考えても、極めて高い割合となっている。
長野県で最も多かったのは、北アルプス広域消防本部管内(大町市、池田町、松川村、白馬村、小谷村)の57件。沖縄県では名護市消防本部管内の49件が最多だった。
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