建設業界向けのクラウド事業を巡り、顧客のゼネコンに対し、競合他社と取引しないことを条件にサービスを提供したとして、公正取引委員会は11日、独禁法違反(不公正な取引方法)容疑で、三菱商事の子会社「MCデータプラス」(東京都渋谷区)を立ち入り検査した。関係者への取材で分かった。
クラウドサービスの提供で公取委が立ち入り検査に入るのは初めてとみられる。
関係者によると、MCデータプラスはゼネコン社員らの労務安全衛生に関わる書類などをクラウドで電子管理し提供している。遅くとも2019年以降、ゼネコンに競合他社のサービスを利用しないよう求めたり、クラウド上のデータを他社のサービスで利用することを約款で禁じたりした疑いが持たれている。顧客の流出を避けようとした可能性があるという。
ゼネコンがMCデータプラスと契約を結んだ場合の年間支払額は1000万~2500万円程度だったとみられる。独禁法では事業者が取引相手に対し、競合他社と取引しないよう約束させることを「排他条件付き取引」として禁じている。
MCデータプラスは15年7月に三菱商事から分社化。ホームページによると、23年3月期の売上高は48億7800万円で、契約先は約9万5000社に上るとしている。
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