工務店に特化したマーケティング支援を行うSHO-SAN(東京都杉並区)の多岐にわたるサービスのなかでも、市況の変化からSNS、特にInstagramを中心とした運用代行の需要が高まっている。工務店支援のノウハウを集積した運用代行の利用者は80社を超え、集客の次世代のチャネルとして活用の場が広がる。SNS Division統括マネージャー兼エグゼクティブマーケティングコンサルタントの丹野裕鵬さんは「SNS分野を伸ばすことは、向こう10年損がないこと」と説く。
集客の一等地は変化した
住宅業界全体の商況は厳しい時代だ。人口減少に加え資材高騰の影響も相まって、新築着工棟数、中でも持ち家の減少傾向が著しい。加えて、一次取得者の情報取得媒体の変化も顕著だ。一次取得者のボリュームゾーンである20歳代と30歳代は、Googleなど検索エンジンのネット検索から、InstagramやYouTubeなどSNSを利用した検索を主に使うようになっている。
これまで検索エンジンからの流入を狙って、ホームページやSEO対策、リスティング広告などに注力していた工務店も、SNS運用に力を入れる必要に迫られている。丹野さんは「2030年まで1.7倍の成長市場であり、集客の一等地は変化したと言える。これまでと同じチャネルだけなく、より効果が見込める媒体にアジャストしていく必要がある」と話す。実際に、業績を伸ばしている工務店はSNSで活躍している会社が多いという。
丹野さんはまた「ユーザーが多いSNSを主戦場として、どれだけ立ち回れるか。昔でいう『チラシ』や『ホームページ』のような存在になっていて、集客では不可欠のチャネルだ」と指摘する。
アカウントの育成
SNSは始めて直ぐに効果が表れるわけではなく、中長期的な視点でアカウントを育てていくことが求められる。ユーザーは“建てたいと思う家を建ててくれる工務店”を求めて検索するため、発信する施工事例の写真ひとつをとってもターゲットに響く写真を選ぶ必要があるし、事例を見てもらうためにはフォロワーも増やしていく必要がある。
しかし、SNSの運用ノウハウに乏しい人材が、手探り、かつ手作業で発信することも多いのが工務店のSNS運用の現状だ。手間と時間だけがかかり、来場効果を見込めるアカウントに育てることは容易ではない。
同社ではSNSの中でも工務店・住宅会社と相性のいいInstagramやYouTube、TikTokなどの運用代行を行っている。社内担当者の代わりに、投稿内容の選定から投稿の代行、フォロワーを増やす施策や増加の推移の分析までを行いながら、工務店のアカウントを充実させていくことを目指す。「工務店の特性に合わせて分析しながら育てていく。集客効果が出るまでに、半年ほどかかるが、運用次第では1カ月で効果が出ることもある」(丹野さん)。
システムに好かれる投稿が最重要
Instagramは、他のSNSと比べて拡散方法が大きく異なる。丹野さんによると、「X(旧:Twitter)はユーザー拡散型だが、InstagramはAIが自動で判定して拡散する。ユーザー目線の投稿は効果が薄く、システムに“好かれる”投稿が重要」。運用代行でも画像AIに“好かれる”ため、放射線構図やシンメトリーなど、映える画角に調整できる独自のトリミング機能を用いた投稿を行う。
運用体系には、アカウントの土台づくりをメインとした「スタンダード運用」、他社と差別化を図る「アドバンス運用」の2種類がある。基礎となるスタンダード運用では「投稿を伸ばす工夫」「いいね・コメントなど反応される投稿」「精度の高いフォロワーを集めること」を主眼に運用法の改善を行い、Instagramからの資料請求や来場を促すことを目的とする。
アカウントを育てていく過程で、スタンダード運用では訴求しきれない、会社のブランディング構築やアクション誘導の最大化など、リール機能やハイライトを最大限活用して追及するのがアドバンス運用だ。Instagramの自社ページの見栄えを良くすると、反響は大きく変わるそうで「訴求したいターゲットに合わせてつくりこむことが集客効果につながる。同じリーチ数でも、イベント来場者数は変わってくる」とつくりこみの意義を話す。
来場につながる数字を競合先分析から増やす
工務店はSNS運用に際して「闇雲にフォロワーを増やす目標を立てがち」だが、丹野さんは安易な目標設定に警鐘を鳴らす。「商圏にいる住宅購入検討層の地域ユーザーをいかにフォロワーとして集めるかが大事。商圏外のユーザーを増やしても、来場につながらないなら集めた数字に意味はない」(丹野さん)。
同社では、地域の住宅購入検討層を増やすために2つの取り組みを行う。商圏内の競合アカウントでその投稿に反応している人を探し、アクション(フォロー・いいね)する方法と、家づくりの過程を公開している関心度の高いユーザーを探す方法だ。独自の手法でフォローを返してくれる見込みの高いユーザーにアプローチし、商圏フォロワーの比率を増やしていく。
フォロワー候補を発掘しながら育てたアカウントは、Instagramのシステムにより商圏内のユーザーに向けておすすめされることが増える。システムを逆手に取り、確立された手法を用いたつくりこみこそが、他社との差別化につながるコツだ。
SNSを始めて損はない
Instagram運用代行は安定した投資先と見る。SNSは生活者にとって不可欠なインフラとなりつつあり、データとしても現れている。受注が増える可能性が大きいマーケットだ。また、現在はInstagramが主流だが、SNSは同じ機能さえあれば移行するのも容易なため、始めておいて損はない。住宅業界においては、TikTok、もしくはThreads(スレッズ)が台頭する可能性もあるため、集客チャネルの選択肢は今の内に広げておくのが有効だ。もし、自社リソースが足りないならば、運用のプロに任せてみることも勝算を引き寄せる一手だろう。
(sponsored by SHO-SAN)
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