東京商工リサーチ(東京都千代田区)が10日発表した2023年度上半期(4~9月)の企業倒産件数(負債1000万円以上)は、前年同期比37.7%増の4324件だった。2年連続のプラスで、産業別では32年ぶりに全10分野で前年を上回った。コロナ禍に伴う実質無利子・無担保の「ゼロゼロ融資」の返済本格化などで、コロナ禍前の19年度上期(4256件)を超え、15年度以来の高水準だった。
倒産件数はこれまでゼロゼロ融資で抑制されたが、「コロナ禍からの業績回復の遅れにコスト高などが重なり、倒産は増加傾向だ」(商工リサーチ)という。物価高が要因の倒産は2.7倍の334件。価格転嫁が進まず、息切れする例が目立った。負債総額は8.4%減の1兆5959億円。
産業別では、原材料高や人手不足が響いたサービス業が42.1%増の1468件で最多。資材価格が高騰する建設業、円安でコスト増を抱える卸売業と続いた。
《注目記事》建設業者倒産に歯止め効かず 過去5年で最多ペース
運輸業のうち、道路貨物運送業は37.5%増の165件と3年連続で増加。物流業界の「2024年問題」を前に、運転手不足や燃料費高騰によって経営が悪化したという。
9月の倒産件数は前年同月比20.2%増の720件で18カ月連続のプラス。負債総額は約4.8倍6919億円だった。
■関連記事
建設業の景気動向は2カ月連続で悪化―帝国データバンク調査
2023年上半期の企業倒産、建設業は前年同期比36.2%増
中小企業の人手不足、68% 日商調査、過去最高に
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。