帝国データバンク(東京都港区)は10月4日、2023年9月の景気動向調査結果を公表した。景気DI は前月比0.5 ポイント減の44.4 となり、2 カ月連続で悪化した。原材料価格やエネルギーコストの高止まり、円安、米欧中経済の成長鈍化が企業活動を行う上での重荷となり 3年5カ月ぶりに全10業界で悪化した。規模別でも「大企業」「中小企業」「小規模企業」が3 カ月ぶりにそろって悪化となった。
「建設」は47.1(前月比0.3ポイント減)で2カ月連続の悪化。「建材の価格高騰は続くものの、猛暑が落ち着く傾向にあるため、職方の稼働が上がってきている。ビル・マンションの大規模修繕工事も順調」(建築工事)といった声がある一方、「所得が物価に連動しておらず、注文住宅の新築は案件が減っている。会社の改修や公共工事は仕事量があるが、人手が追い付いていない」(木造建築工事)、「業界は物価の上昇が価格に反映されにくく、元請は下請叩きをし下請は孫請け叩きをする。行政の窓口に訴えて、バレると仕事がもらえなくなる」(鉄筋工事)、「公共工事は比較的仕事量が多い。民間工事の場合、補助金がある工事は比較的施工しているが、補助金のない工事の発注が少ない」(一般土木建築工事)といった厳しい意見が出された。
また、「不動産」は48.5(同1.1 ポイント減)で2カ月ぶり悪化。「問い合わせ件数が増加。ローコスト住宅希望の顧客が最近増えていることが懸念事項」(土地売買)、「不動産価格が高水準で推移。売買・賃貸ともに活発に取引」(不動産代理業・仲介)など、プラスの声が聞かれる一方、「対前年比の業務量に顕著な変化はないが、価格転嫁ができず賃上げに苦慮」(貸家)といった声も聞かれた。
先行きについては、「新築以外にも改修や建替えが増えてきている。また、人手が不足しているため、下請け等はより忙しくなる」(とび工事)という声もあるが、「原油・資材価格の高騰や人員不足のほか、サブコンの調達ができないなど、良くなる要因が見当たらない」(一般土木建築工事)、「価格の高騰により顧客の設備投資が低調」(冷暖房設備工事)、「改築・修繕工事提案ができないほど、機器・部品の納期が遅れている。発注された工事案件は納入の遅延で工事進捗に支障がでている」(一般電気工事)、「金利の上昇傾向と物価上昇による買い控えが顕著になりつつあり、一般住宅、中古マンションの販売が鈍化傾向にある」(建物売買)、「不動産売買、投資に関する金融機関の姿勢、条件が確実に厳しくなる」(貸家)など、厳しい見方が多かった。
■関連記事
建設業者倒産に歯止めきかず 過去5年で最多ペース
8月の実質賃金、2.5%減 17カ月連続マイナス
9月の景気予測、建設業は中小で「下降」 人材不足が顕著
コスト上昇分「全く価格転嫁できない」1割超 TDB調べ
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。