(一社)労災センター共済会が9月28日に公表した「一人親方のインボイス制度に関する実態調査」によると、免税事業者である一人親方の約半数が「インボイス制度への対応準備ができていないと」回答。そのうちの4割が、制度の内容が十分理解できていないために、具体的な対策を取れずにいることが明らかになった。
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同調査は免税事業者の一人親方101人を対象に実施したインターネット調査で、調査期間は2023年9月7~8日。
10月1日からのインボイス制度開始に向けて、対応の準備ができているかについて、21.8%が「できている」、15.8%が「ややできている」と回答した一方で、22.8%が「あまりできていない」、23.8%が「全くできていない」と答えている。
準備ができていない理由(複数回答)については、「十分に理解していないため、具体的な対応策を練ることができないから」(38.3%)が最も多く、次いで「まだ今後の体制を決められていないから」(31.9%)、「自身に合っている選択が分からないから」(29.8%)となっている。
インボイス制度に対して危機感があるかどうかの問いでは、33.7%が「非常に感じる」、35.6%が「やや感じる」と回答。具体的には、「免税事業者のままだと仕事が減る可能性がある」が51.4%で最多となった。インボイスが発行できないと、取引先がその消費税分を代わりに負担することになるため、それを理由に取引停止になることを懸念している。他に「手続きなどの事務作業が増える」(41.4%)、「インボイス制度についてよく理解できていない」(34.3%)が上位となった。
一人親方へのサポートを
10月1日以降に課税事業者になるかどうかについては、34.7%が「課税事業者になる」が、30.7%が「免税事業者のままでいる」と回答。課税事業者になる理由については、82.9%が「既存の取引先に継続してもらいたいから」と答えている。一方、免税事業者のままでいる理由については、「納税額を増やしたくないから」(48.4%)、「個人取引が多いから」(48.4%)、「納税のための事務作業が増えるのを防ぎたいから」(22.6%)、「発行する請求書が複雑になるのを防ぎたいから」(16.1%)の順に多かった。
これらの結果について同会は、「インボイス制度が開始される中、インボイス制度についてよくわからないという声が多く聞かれる。具体的な対策を進めるためにも、一人親方の活動をサポートする機関に相談するなど、早急な対応が必要だ」と述べている。
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