住宅雑誌「Replan(リプラン)」、「Replan Webマガジン」などを発行する札促社(札幌市西区)は10月2日、創業者で代表取締役社長の三木奎吾さんが退任し、新たにSUMUS(スムーズ、東京都港区)など3社で代表取締役社長を務める小林大輔さんが、同社の全株式を譲り受けて代表取締役社長に就任した。
三木前社長は新設分割されて発足するリプランハウス(札幌市西区)の代表に就任。今後、札促社との業務提携により、工務店・建築家の検索ポータルサイト「Replan SUMAIナビ」の運営に注力する。
小林新社長は新潟県上越市生まれ、40歳。法政大学経営学部経営学科卒。2014年4月にコンサルティング会社TLUSNOC(トラスノック)を設立し、代表取締役社長に就任した。現在、TLUSNOC、SUMUS、ディーワークスの代表取締役社長と、複数企業の社外取締役を務めている。
SUMUSでは工務店向けに、労務管理システムやアプリケーションの提供、各種助成金のサポート、広告宣伝、コンサルティングなどのサービスを提供。地域の担い手である地場工務店とともに愛されるまちを作ることをライフワークとして掲げている。主な著作に、『伸びる会社はここが違う 住宅会社の新成長戦略』(ATパブリケーション)、『まちづくり戦略3.0』(かんき出版)などがある。
就任に際し、小林社長は「長く住宅情報市場で存在感を示してきた『Replan』の住文化発信を継承し、盛り上げていきたい」とコメント。新会社の代表に就任した三木さんは、「札促社と緊密に業務提携しながら、不即不離の関係で事業に当たりたい」と意気込みを語っている。
新建ハウジングDIGITALは、札促社前社長の三木さんに、退任の経緯など聞いた。主なやり取りは以下の通り。
―スムーズの小林社長が代表取締役に就任した経緯は
私自身、70歳を超えて今後の身の振り方を考えていた。多くのスタッフを抱えている中で、第一は会社が安定的に将来にわたって成長しながら、発展していくことが大切だ。そんな中で、経営的な視点から見ても、スムーズの小林さんなら信頼して会社を託せると考えた。小林さんと多くの時間を共にする中で、まっすぐな人間性に全幅の信頼を置いている。
コンサルティングを行うスムーズは、地域工務店に近い存在であり、IT領域にも強い。メディア企業ではないが、親和性がとても高い。今後、紙媒体からWEBに力を注いでいく中で、そうしたITの知見にも期待している。
―現場からメディア出身者以外がトップに就任することへの抵抗感は
全くない。約20人いる編集や制作スタッフは、歓迎している。若干、話が逸れてしまうが、メディア企業は「新聞」を一つの世界だとすると、いつまでもそこの世界に留まっている発想では良くない。そもそもの考え方から変えていく必要があるのではないか。今後はさらにITプラットフォーマーが力を強めていく。ともすれば、GAFA(Google・Apple・Facebook(※2021年10月よりMeta)・Amazon)を避けて通ることができないし、繰り返しになるが、WEBに本腰を据える必要がある。であれば、その領域に知見と実績のある人材がトップに就くことは良いことだし、別に不思議なことではない。
―三木前社長の退任により、媒体の編集方針が変わる可能性は
全くない。雑誌やWEBコンテンツだけではなく、むしろ今後は事業的な広がりが期待できる。新建ハウジングとは違って(全国紙ではなく)、うちは北海道でしょう。可能性の話になるけど、経営的に発展性あるのは、地元にしっかりと軸を置きながら、あらゆる地域を視野に入れた事業を考えていくこと。その選択肢が広がっていくのは会社にとってもプラスだし、これから取り組むべきことだと思う。
うちは新建ハウジングとは違って住宅専門紙ではない。表現が難しいが、実務者だけにフォーカスしているのではなく、生活者の最も近くにいながら、そのニーズをくみ取りつつ、現場もしっかり押さえているところが強みだろう。住宅に興味があって、その中でも高断熱高気密の家づくりをしたい―そんなところに価値観を見出す人は2割程度ではないか。逆にその2割のコアな生活者に向けて、ハード面だけではなく、住まいの楽しさや喜びといった面を含めて、自分たちなりの情報発信をすることは意味のあることだと思う。
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