半導体、蓄電池など、経済安全保障上の重要物資の工場立地を促進するため、政府が土地の利用規制の緩和を検討していることが3日、分かった。都市計画法に基づき市街化を抑制する「市街化調整区域」で、自治体が計画を策定して工場の立地を許可できるようにする。工場を建設しやすくすることで重要物資の生産基盤を強化し、国内投資の拡大につなげる。
政府が4日に首相官邸で開く「国内投資拡大のための官民連携フォーラム」で、岸田文雄首相が表明する方向で調整している。10月末にまとめる経済対策に国内投資拡大に向けた促進策として盛り込む方針だ。
市街化調整区域では現在、工場建設などの開発行為は制限されている。地域未来投資促進法に基づく特例措置として、自治体が開発を許可できる例外があるが、対象は食品関連の物流施設やデータセンターといった一部の施設に限られている。このため、半導体受託製造最大手の台湾積体電路製造(TSMC)の進出で半導体工場の建設ラッシュが続く九州では、工場用地の確保に向けて規制緩和を求める声が上がっていた。
こうした意見を踏まえ政府は、重要物資に関連する工場についても、自治体が特例措置に基づき開発を許可できる対象に加える。西村康稔経済産業相は9月26日の閣議後記者会見で、経済対策に盛り込む投資拡大策として「制度・規制(見直し)も併せて考えていきたい」と述べていた。
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