松尾和也さん流エコハウス設計メソッドを毎月10日号でお届けする本連載。今回のテーマは粗利。よく言われる「粗利25%」は本当に正しいのか、工務店はどうすればいいかを考えます。
工務店さんには、さまざまな経営コンサル(的な会社)から声がかかります。その際、決まり文句のように言われるのが「粗利25%は死守しましょう!」ということです。今回はこの「粗利25%」について、思うところを書いてみようと思います。
ウッドショックが始まるまで、20年ほどの間はずっとデフレが続いていました。その時代は特に深く考えずとも「粗利25%を死守」で良かったと思います。しかし、ここまで急速にインフレが進む状況下では、改めて考え直す必要が出てきています。
工務店によって経営スタイルは千差万別ですが、自社が得た粗利からさまざまな支払いを行う、ということは共通しています。支払いの中で圧倒的に大きいのは「建材費」「職人さんへの支払い」「社会保険を含む社員への給与」でしょう。中でも建材費と職人さんへの支払いは、合計すると7~8割程度にもなる最大の支出ではないでしょうか。
この三大支出のうち、インフレの影響をまともに受けているのは建材費です。職人さんへの支払いも、材工で頼んでいる場合はインフレに伴って上がっていると思います。ただ、純粋に手間賃だけで頼んでいる場合、インフレに応じて支払いを増やしている会社は非常に少ないのではないかと思います。これは社員への給与についても同様だと考えています。
「粗利25%」ということは、見積もりをして、その合計に25%をかけたものが粗利益になるわけです。確かにウッドショックが始まってから、建材の価格は2割程度上昇しました。しかしながら・・・
この記事は新建ハウジング10月10日号6面(2023年10月10日発行)に掲載しています。
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