「フェイクではなく本物を。単なる高級ではなく真の上質を」―愛知県名古屋市および周辺エリアをメイン商圏とし、そうした顧客のニーズに応えているのが阿部建設(同市)だ。年間24棟を上限として手がけるフルオーダー住宅は、ハウスメーカーと競合する価格帯をボリュームゾーンとしながら、1億円を超えるような案件もある。こうした状況を生み出す1つのきっかけになったのが、建築家の泉幸甫さん(泉幸甫建築研究所)に設計を依頼し、同市内に2016年に完成させた常設モデルハウス『手しごとの家』だ。同モデルから、本物・上質志向の“成熟した顧客”に響く素材使いを中心にみる。泉さんと阿部建設社長の阿部一雄さんにポイントを聞いた。
木の架構をあらわす
文字通り「手しごと」をキーワードにする同モデルの重要なポイントとして泉さんは、「木の架構が見える」ことを挙げる。理にかなった構造と美しいプロポーションを兼ねる架構を“あらわす”ことで空間の魅力が高まる。泉さんは「架構を見せるためには、必然的に色合いの変化など年月を経るごとに美しさを増していく国産材を選択することになる」と説明。
手しごとの家では、広いワンフロアの2階の棟木や登り梁に国産のスギ材を用いた。太鼓落としの棟木は表面を反り鉋で仕上げ、「追掛け大栓継ぎ」や「台持継ぎ」といった伝統的な技法でつないだ。手しごとにより、木の美しさを際立たせている。泉さんは「合理性やコストを度外視して全てを手しごとでつくるというのではなく、工業化された技術(プレカット)を用いながらも、要所で手しごとを取り入れることによって、自然素材の魅力を引き出し、空間の質を高めることができる」と話す・・・
この記事の続きは、『新建ハウジング別冊・月刊アーキテクトビルダー10月号(2023年9月30日発行)効く冷暖房[超]Q&A〈機器選定・施工編〉』(P.34〜)でご覧ください。
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