凰建設(岐阜県岐阜市)では主に第三種換気を採用するが、顧客が望む環境を実現するために第一種熱交換換気を導入することもある。社長の森亨介さんは、第一種か第三種かという「結論ありき」ではなく「熱負荷や風量の計算を前提とした正しい空調設計」が重要と説き、第三種換気でも十分に快適な環境を実現している。
希望する湿度で一種か三種かを決める
一種か三種かを判断する有力な材料になるのが夏の相対湿度。基準ラインは50%で「湿度50%を下回る環境が欲しいのなら第一種熱交換、60%前後でも快適と感じられるのなら第三種をすすめる」ことが多い。結果的に第三種が8割を占め、2割程度が第一種熱交換換気となる。
実際の住宅で測定した湿度のデータを見てみよう。第三種換気を採用した築2年目の住宅・S邸は、8月前半の最も暑い時期で湿度55%前後(室温25℃前後)。同じく第三種換気で3年目の住宅・K邸は、湿度48%前後(同27℃前後)に[グラフ]。岐阜市の気象条件では、K邸のような「50%を切る程度の環境が第三種の限界」だと森さんは見ている。
一方、第一種換気の住宅・N邸は室温26~27℃・湿度42~48%。平均45%が第一種の平均的な値だ。第三種のほうがやや湿度は高いが、第一種と第三種、双方の空間を体感してもらうと、大部分の人は第三種でも十分快適な環境になると納得するという。
なぜ暑く・寒くなるのか、空調を決める前に把握する
ただ「何も考えずに第三種を採用すると、夏、湿度70%を切るのはとても難しい」と森さん。冷房するので室温は下がるが湿度は高いままで「ひやりとするがじめじめ」した空気環境になってしまう。
第三種換気で快適な温湿度環境を実現する前提は・・・
この記事の続きは、『新建ハウジング別冊・月刊アーキテクトビルダー10月号(2023年9月30日発行)効く冷暖房[超]Q&A〈機器選定・施工編〉』(P.12〜)でご覧ください。
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