適用税率や税率ごとに区分した消費税額が記載されたインボイス(適格請求書)制度が10月1日にスタート。ただ、事務負担の増大に加え、制度に登録しない小規模事業者は発注元から取引を見直されるという不安の声もある。政府は閣僚級会議を立ち上げて支援策などを含め検討しており、制度導入後も税務署で相談会を開くなど懸念払拭に躍起となっている。
《関連記事》【インボイス】経理担当8割超が業務の負担増を懸念
消費税の納税額は、商品などの販売先から受け取った消費税と、仕入れにかかった消費税の差額。インボイスがないと、「仕入れ税額控除」と呼ばれるこの仕組みが原則として認められず、原材料などを発注した側がその仕入れ分の消費税を負担しなければならない。
インボイスを発行するには税務署への登録が必要だ。年間売上高1000万円以下の小規模事業者は、登録せずに消費税の納税義務がない免税事業者のままでいられるが、インボイスを発行できないことを理由に、発注元から取引を中止されたり、価格を一方的に引き下げられたりする可能性もあり、不安が広がっている。
政府は経過措置として、免税事業者が課税事業者に転換してから3年間は納税額を軽減するほか、免税事業者からの仕入れでも、税額の一定割合を6年間控除できるようにした。
政府は閣僚会議を9月に立ち上げて施行状況や課題を定期的に確認し、支援策も検討している。全国各地の税務署での相談会開催や消費税の申告サポートなどを通じ、不安解消に努める構えだ。
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。