信用調査会社・帝国データバンクの発表によると、大翔(大阪市)が9月20日付で事業を停止し、債務整理を弁護士に一任したことがわかった。負債は2022年6月期末時点で約3億9500万円だが、変動している可能性がある。
《注目記事》建設業者倒産に歯止め効かず 過去5年で最多ペース
同社は賃貸マンションや戸建て住宅など住居用建屋の新築・増改築工事を主体とし、大阪府を中心に奈良県や兵庫県、京都府など近畿一円を営業エリアとしていた。
大手を含む不動産開発業者からの下請け受注が大半で、営業人員を抱えず設計監理担当の技術者が現場監理を担う業態。1億円規模の新築工事受注を多く獲得し、2022年6月期の年売上高は約12億8100万円と業容を拡大していた。
しかし、売り上げが伸長する一方で、不良債権の発生や、材料費および外注費の高騰で不採算受注が重なり収益性は低迷。さらに、長引くコロナ禍の影響で資材の入荷遅れなど工期遅延が発生し資金繰りがひっ迫、取引先への支払いに支障を来すなど信用不安が露呈していたという。
そのため、資本性ローンの導入で資金調達環境の改善や、2023年7月には社有不動産を売却するなど財務の立て直しを図っていた。しかし、想定を上回る資材や外注費の高騰で不採算受注に歯止めがかからず、事業継続を断念することとなり、今回の事態となった。
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