政府は29日、消費税のインボイス(適格請求書)制度の定着に向けた閣僚会議の初会合を首相官邸で開いた。制度開始に伴う負担増を懸念する小規模事業者の不安を払拭するため、相談体制と取引環境の整備を議論。岸田文雄首相は「取引環境の改善やデジタル化推進につなげるため、経済対策に支援策を盛り込み、必要な支援を実施してほしい」と指示した。
首相は「一部の中小・小規模事業者から、取引上不当な扱いを受けるのではないかと不安の声も上がっている」と指摘。会議では事業者の不安解消に向け、周知や広報に取り組むほか、支援策を検討する方針を確認した。会議には首相のほか、議長を務める松野博一官房長官、鈴木俊一財務相らが出席した。
国税庁は10月の制度導入後も全国各地の税務署で事業者向けの相談会などを開催する。公正取引委員会も、立場の弱い事業者が不利な条件での取引を強いられることがないよう注意を徹底する方針だ。
インボイスには、適用税率(8%か10%)や税率ごとに区分した消費税額などが記載される。インボイスを受け取らないと、10月以降、事業者が商品などを販売して消費税を納める際に、仕入れ時や経費で支払った分の消費税額を納税額から差し引く「仕入れ税額控除」が原則としてできなくなる。
インボイスの発行には税務署への登録が必要だが登録は任意。年間売上高1000万円以下の小規模事業者は消費税を納める義務がない免税事業者でいることも可能だ。ただ、仕入れ時の消費税分を控除できなくなる発注元から取引を一方的に打ち切られることが懸念されている。
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