厚生労働省が9月22日発表した労働経済動向調査(2023年8月)の結果によると、建設業の所定外労働時間の実績見込みは、7~9月期では全産業中で最も高い+8ポイントとなった。その一方で、10~12月期の見込みについては+1ポイントであることから、現時点では時間外労働の削減に着手できていないものの、年内には何らかの対策を行う意思があると読み取れる。
同調査は景気の変動が雇用などに及ぼす影響や将来の見通しを調査したもので、4半期ごとに実施している。数値(D.I.)の算出方法は調査項目により異なり、所定外労働時間は「増加」から「減少」を引いた値、労働者の過不足状況は「不足」から「過剰」を引いた値となっている。
人材不足対策「正社員に登用」が最多
正規労働者の過不足状況については、建設業では「不足」が58、「過剰」が0で、+56ポイントに。「医療・福祉」(+61ポイント)、「運輸業・郵便業」(+56ポイント)とともに、人手不足感が「非常に強い」結果となった。産業全体では49期連続で「不足超過」が続いている。
建設業で「未充足の求人がある」と回答したのは44%で、欠員率は2.5%。正社員の雇用は、7~9月期は+10ポイント、10~12月期は+7ポイントとなる見込み。人材不足に対して過去1年間に「対処をした」事業所の割合は、建設業では68%。対策の内訳は、「正社員への登用」54%、「労働条件の改善(賃金)」49%、「派遣労働者の活用」35%、「労働条件の改善(賃金以外)」34%、「再雇用・定年の延長など」32%が多かった。。
7~9月期の生産・売上額の実績は、全産業合計で+3ポイントとなる見込み。建設業は+4ポイントと全産業平均をわずかに上回った。産業別では、「宿泊業・飲食サービス業」が+25ポイント、「卸売業・小売業」が+12ポイントと好調。10~12月期の見込みは、全産業では+8となったが、「建設業」は+3に留まった。
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