秋が近づいて来た。芸術や文化の季節。今回はヨーロッパの建物の「美しさ」について、形而上学的に思考を巡らせたい。コロナ明けで、日本をはじめ、アジアからの観光客も回復傾向にあるが、彼らが「きれいだね」と感嘆する「もの」の本質について考える。
私はコロナでいろんな活動が抑えられていた時期、時間があったので、街を歩きながら、建物にカメラを向けていた。特に「古」と「新」が隣り合わせ、もしくは組み合わせに関心が湧いた。
古建築物は、市民も観光客も、多くの人々を魅了し続けている。現代まで大切に維持されている古い建物のデザインには、調和、愛情、スピリチュアリティの追求が感じられる。
現代建築はどうだろうか?古建築の美しさに敬意を払って、調和・融合しようとしている現代建築もあれば、違いを敢えて目立たせている自己顕示欲が強い現代建築もある。または、高さと壁面のラインだけある程度、既存の古建築に合わせ、あとは関係ない、という印象を与えるものも。
「form follows function 形態は機能に従う」という有名な言葉がある。現代建築の大きな潮流となった20世紀前半の「バウハウス」の哲学を表現する言葉としてよく使われる。装飾や紋様を削ぎ落としたシンプルな「機能美」。しかし・・・
この記事は新建ハウジング9月30日号7面(2023年9月30日発行)に掲載しています。
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