国土交通省はこのほど、2025年4月1日の改正建築物省エネ法・建築基準法施行に向けた会議で、木造住宅・建築物の壁量基準見直し案を公表した。既に案が公表されている壁量の算定方法に加え、“準耐力壁”の扱いや“壁倍率”の上限撤廃も加わったが、Mʼs構造設計社長・構造塾代表の佐藤実さんは「この内容がそのまま施行されるのは危険かもしれない」と話す。現時点で公開されている資料から読み取れるリスクを聞いた。
国土交通省は、8月7日の第2回改正建築物省エネ法・建築基準法の円滑施行に関する連絡会議で「木造建築物の仕様の実情に応じた壁量基準等の見直し(案)」を公表した。
同案は、木造住宅・建築物の仕様の多様化や、性能向上に伴う重量化を踏まえ、壁量基準については①仕様の実況に応じた必要壁量の算定方法への見直し、②存在壁量に準耐力壁等を考慮可能化、③高耐力壁を使用可能化、④構造計算による安全性確認の合理化(構造計算による場合は壁量計算不要)―の4点を見直すとした。
佐藤さんは、この案の通り見直しが行われると仮定した場合、②と③の2つは「構造安全性を損なう可能性が否定できない」と話す。それぞれについて、考えられる可能性を聞いた。
準耐力壁はあくまで 「余力」と考えよう
②の「存在壁量に準耐力壁等を考慮可能化」は、現行では壁量に参入できない準耐力壁(耐力面材の上部が横架材に留めつけられていない壁)や腰壁、垂れ壁を、存在壁量として考慮できるようにするという内容だ。準耐力壁自体に耐力がないわけではなく・・・
この記事は新建ハウジング9月30日号1・2面(2023年9月30日発行)に掲載しています。
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