東京商工リサーチ(東京都千代田区)は9月26日、2022年度の売上高100億円以上の「主要戸建メーカー、ハウスビルダー」117社の動向調査の結果を発表した。最新期(2022年度)の117社の売上高合計は、前年度比5.3%増の約7兆8945億円で2期連続上昇。前年度から約4000億円増加した。一方、利益は3.9%減の約4027億円で、減益企業は全体の約6割(58.9%)に達した。
2022年度の戸建て住宅の新設住宅着工戸数は39万2453戸で前年度から7.7%減少したが、建築資材や物流費、人件費などのコストアップや高付加価値化による価格上昇が売上増につながったとみられる。売上高別でみると、1兆円以上が1社、1000億円以上が16社(構成比13.6%)で全国展開する大手が中心。売上高100億円台は53社(同45.2%)と半数近くを占めており、特定エリアに集中したドミナント戦略によって地域内の実績と知名度を強みに業績を伸ばしている。
売上高の増減収別では、増収が78社(構成比66.6%)と2年連続で6割を超えた。減収は39社(同33.3%)だった。2021年度は前年度にコロナ禍で落ち込んだ反動から増収企業の構成比が約7割に達したが、2022年度は増収企業が2社減少し勢いが鈍化した。
増減益別では、増益が前年度の81.2%(95社)から41.0%(48社)と減少したのに対し、減益は18.8%から58.9%(69社)と大幅に増加。利益環境の悪化が明らかとなった。利益合計は4191億円から4027億円に減少しており、資材や人件費上昇分の価格転嫁が追いついていない状況がうかがえる。赤字企業は14社(11.9%)で、前年度の4社(3.4%)から3倍以上に増えた。
業歴別では、業歴50年未満が81社(69.2%)と約7割を占めた。最も多いのは1980年代創業の29社で、1990年代創業が18社、2000年代に入って創業した新興企業は20社(同17.0%)と2割にせまる。業歴が最も長いのは、唯一100年超えの古河林業(創業1875年)だった。
同調査は、TSR企業データベース(約390万社)から、戸建て住宅の建築や分譲が主力事業の企業を対象に、2022年度の売上高が100億円以上、直近3期連続で売上高と利益が比較可能な117社を抽出、分析したもの。2022年度決算を最新期とした。調査は今回が初。
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