NEXT STAGE(大阪府大阪市)が主催する「Japan Housing Quality Award 2023」は、木造戸建住宅の建築を行っている全国の住宅事業者が「製造力」を競い合うイベントだ。なぜいま「製造力」が問われているのか。このイベントに参加する異議やメリットはどこにあるのか。NEXT STAGE代表取締役社長 小村直克さんと、いち早く参加を表明したビルダー、小田原工務店(鳥取県米子市)の代表取締役社長 小田原勤さんに対談形式で語り合ってもらった。
工務店の本質である「施工力」が性能、品質の向上に欠かせない
―「Japan Housing Quality Award 2023」を開催する理由は?
小村直克さん(以下、小村) 当社は、建物の製造プロセスに対する品質管理について技術を通じてサポートする会社です。おかげさまで全国に1000社近いお客様とお付き合いができました。しかしその一方で、課題も見えてきました。住宅業界では、耐震性、断熱性などの「性能」は注目されるものの、計画段階における数値のことばかり。本来は、施工現場における「製造品質」が優れていないと、せっかくの高性能仕様の設計も「絵に描いた餅」になってしまう。そこで、製造品質の重要性を訴求したいと思い、このアワードを企画しました。
小田原勤さん(以下、小田原) 率直に面白いイベントだと思いました。よくデザインや棟数を競うコンテストはありますが、工務店にとって本質的といえる「工務」を評価してもらえる部分に興味を持ちました。
小村 小田原工務店様とは以前からお付き合いがありますが、「製造力」、建築でいうところの「施工力」を特に重視していますよね。
小田原 長い期間をかけて、現場管理のノウハウを培い、大工や職人との協業を積み重ねた末に築かれるのが「施工力」だと思っています。このアワードでは、自分たちの「施工力」がどの程度のものなのか知ると同時に、他社の取り組みにも触れて学びを得たいと考えています。
小村 工務店にとって「施工力」というのは、お金では買えないかけがえのないものですよね。着工から引き渡しまで家づくりには多くの業者が関わります。その中で、全員が毎回100点満点を目指すことは難しくても、確実に90点以上を達成するというのが、現実的な現場管理の目標になるのでは。
小田原 現場監督の育成や現場管理の質の向上は、大きな課題ですね。
小村 安定して高いレベルで施工されている工務店様は、施工や現場管理の体制づくりがうまいですね。そして、着工前に設計を固めています。逆に決めるのが遅い会社ほどうまくいかない。情報が足りないまま、施工を進めていかないといけない。手戻りも多くなりますよね。
小田原 耳が痛いですね…(苦笑)。「段取り八分」といいますが、まさにその通り。「製造品質」というと耳慣れないですが、ものづくりの原点に立ち戻る部分があるのかもしれません。
「製造力」を定量的に評価。自社の改善点の把握にも効果的
―NEXT STAGEでは、2022年2月、ヒンシツアナリティクスクラウド「QualiZ(クオリツ)」の提供を開始しました。15年以上にわたり第三者品質監査サービスで蓄積してきた建築技術のビッグデータを活用して、設計工程、製造工程、維持管理工程で品質確保に影響を与えるチェック項目を体系化。住宅製造のあらゆるセグメントで品質を分析、評価し、施工品質に影響を与える問題がどこにあるのかを的確、スピーディに見つけ出し改善計画を含めてコンサルを行うというもの。今回のアワードでもこのシステムを使って、参加各社の現場の品質を評価するわけですね。
小村 住宅事業者の工法に応じた建物評価項目、評価基準に沿って、全10回の現場監査を「法令適合」、「性能適合」、「評価タイミング」、「不備範囲」、「不備改善」の5つの評価軸で行います。評価項目は約250項目。工務店様の「製造力」を定量的に評価し、上位スコアの「建物」および「住宅事業者」を表彰します。
小田原 評価項目が数値化されるというのはわかりやすくていいですね。どこに当社の問題点や課題があるのか、傾向や改善すべきポイントが見つけられそうです。
小村 ものづくりということでいえば、衣料品や自動車などの製造の現場では、製品の品質についてシビアに検証、解析していますよね。住宅分野では金額が大きいわりに、これまで品質について情緒的なとらえ方しかしてこなかった。アワードに参加することで、評価や数値に一喜一憂するのではなく、現場の施工管理を細かく分析する。そして着工前に必要な準備や指導を把握する。不毛なトラブルも予防することができます。
小田原 大工や職人、現場監督たちもいい目標ができそうです。
小村 来年度以降の次回アワードでは施工者や現場監督も表彰できればと考えています。自社の現場管理を見直すためにも、多くの工務店様にぜひ参加していただきたいですね。
「Japan Housing Quality Award 2023」
応募概要
対象エリア 全国(北海道、沖縄県、離島等の一部のエリアでは、お受けできない場合がございます)
建物 3階建以下の木造戸建住宅
エントリー期間 2023年4月1日~12月31日
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