2025年大阪・関西万博の会場建設費が大幅に増える見通しとなり、開催地の大阪府・市が対応に苦慮している。上振れが決まれば2回目。政府は国、地元自治体、経済界が3分の1ずつ負担するルールに沿って対応する方針だが、地元議会や経済界では反発や困惑の声が上がっている。
建設費は、日本国際博覧会協会が建設するパビリオンや会場のインフラ整備などに充てられる。当初は1250億円とされていたが、20年12月、1850億円に増額。今回は資材価格高騰などのため、さらに450億円増え2300億円程度と、当初計画の1.8倍以上に増える見通しだ。
建設費の負担に関し、政府は17年4月に「3分の1ルール」を閣議了解した。松野博一官房長官は今月25日の記者会見で「閣議了解に沿って対応を協議する」とし、上振れ分にも同ルールを適用するとの認識を示した。
ただ、府議会は1回目の上振れの際、「今後これ以上増嵩(ぞうすう)させない」とした上で、万が一のときには「国が責任を持って対応する」との意見書を採択。大阪市議会も同様の意見書をまとめていた。このため、地域政党「大阪維新の会」は26日の府議会本会議で吉村洋文知事に「増額分は国の責任で負担するように強く求めてもらいたい」と主張。これに関し、党幹部は「国が主導する万博で、国に負担を求めるのは当然だ」と訴えた。
一方、吉村氏は同日、記者団に「国と大阪府・市と経済界、3者が一体となって未来社会をつくるのが万博だ。『3分の1ずつ』の枠組みは基本的に必要だ」と述べ、負担増を受け入れざるを得ないとの意向をにじませた。
同じく3分の1を負担する経済界も「金策」を余儀なくされている。地元財界幹部は、各企業からの寄付金で約700億円が集まる見通しとなったとしつつ、「開催まで集め続けなければ」とため息をつく。別の幹部は「この後また上振れしたらどうなるのか」とつぶやいた。
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