消費者庁は大分県大分市の訪問販売業者「エヌケージー」と「野田建工」に対し、2023年9月22日から2024年12月21日までの15カ月間、訪問販売の一部について業務停止命令を行った。両社は屋根瓦のふき替えおよび外壁塗装の工事を連携・共同して行うグループ会社。実際には訪問販売であるにも関わらず、訪問販売ではないかのように装い、クーリング・オフに応じなかったことが特定商取引法に触れた。
同庁によると、エヌケージーは2021年6月以降、訪問販売に求められるクーリング・オフを妨げるため、野田建工と連携して不実告知などの違反行為を繰り返していたという。消費者に対して「アフター訪問による契約であり、訪問販売での契約ではない」と不実を告げてクーリング・オフを拒否していた。別の事例では訪問販売ではないことを装うために、事務所で契約したことにして書面を後から郵送。後日電話でクーリング・オフを申し出た消費者に対し、「これはキャンセルできない契約だ」と告げている。契約時の書面にはクーリング・オフに関する記載がなかった。
こうした行為により両社は、①訪問販売に関する役務提供契約の締結について勧誘すること、②訪問販売に関する役務提供契約の申込みを受けること、③訪問販売に関する役務提供契約を締結すること―について業務停止が命じられた。
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野田建工、5年前にも違反行為
野田建工は2018年10月にも、特定商取引法違反で業務停止命令を受けている。屋根に不具合が生じていないにも関わらず、「次に雨が降ったら雨漏りがする」と虚偽の説明を行い、必要のない工事を契約させていた。しかし翌月11月1日に、グループ会社のノダホームをエヌケージーに商号変更し、住宅販売事業を譲渡したことから、業務停止を免れている。
そこで今回の処分では会社に対してだけでなく、エヌケージーの代表取締役・野田武政氏および取締役副社長・村上東洋一氏に対しても、業務停止の範囲の業務を新たに開始することを禁じた。さらに当該行為の発生原因を究明して再発防止策を講じること、コンプライアンス体制を構築することなどを指示している。
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