経済産業省は9月22日、中小企業の事業承継の基本事項についてまとめた「中小M&Aガイドライン」(第2版)を公開した。初版を発行した2021年4月から約3年が経過し、M&Aは今や中小企業においても事業承継の手法の一つとして広く認識されている。その一方で、契約内容や手数料が分かりづらい、支援機関によって支援の質にばらつきがあるといった課題が見られるようになったことから、第2版では新たな情報や留意点に加え、支援機関向けの記述を充実させている。
ガイドラインは2章からなり、1章は後継者不在の中小企業向け、2章は支援機関向けの内容となっている。支援機関を選ぶ際の参考として、M&A専業業者、金融機関、商工団体、士業専門家、M&Aプラットフォーマーなどによる支援の特徴についてもまとめている。
中小企業向けの手引きでは、M&Aの進め方、仲介者・FA(フィナンシャル・アドバイザー)の選定・契約方法、問い合わせ窓口について説明。追加項目として、▽仲介業務・FA業務の特徴▽契約時の留意点▽セカンドオピニオンの利用▽マッチング支援機関の活用▽必要となる手数料(最低手数料)―などについて情報を整理した。
また、契約後にM&A専門業者を介さずに直接、交渉・接触することを禁じる「直接交渉制限の条項」を追加。▽M&A専門業者が紹介した候補先のみに限定すること(業者が了解している場合を除く)▽交渉制限をM&Aのみに限定すること(通常事業の交渉は可能)▽制限の有効期間を仲介契約・FA契約が終了するまでに限定すること―を留意点としている。
他に、ガイドラインを補足するための「参考資料」を合わせて配布。事例集として、▽小規模企業や個人事業主の成立事例▽M&Aプラットフォームを利用した事例▽赤字・債務超過など経営状況が良好ではない中小企業の成立事例▽親族内承継の頓挫からの成立事例▽従業員の雇用を条件とした事例―などを紹介した。各種契約書のサンプルや、円滑な廃業を支援する施策についてもまとめている。
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