東京駅前の大規模再開発事業として注目されていた「東京駅前八重洲一丁目東B地区第一種市街地再開発事業」(施工:大林組・大成建設JV)で9月19日、作業員4人が重軽傷を負い、2人が死亡する事故が発生した。鉄骨梁がクレーンから外れ、すでに設置されていた鉄骨梁を巻き込んで落下。梁上で作業をしていた5人が梁と共に落下した。重傷を負った3人のうち1人はICU治療中、2人は搬送時には意識があった。残り1人は3階床上で作業中にヘルメット部分に飛散物が衝突し、病院で治療を受けた。事故原因の詳細については現時点では公表されていない。
施工を担当する大林組によると、午前9時15分頃、7階部分の鉄骨建て方作業で架設中の鉄骨梁1本と、すでに設置していた鉄骨梁4本の計5本が崩落。7階から3階床部分までの約20メートル落下した。梁の長さは13~18メートル。総重量は約48トン。
同社は「工事従事者の安全を守れなかったことは悔恨の極み。事故原因の究明に全力を挙げて取り組み、全社を挙げて再発防止と安全施工の徹底に取り組む」とコメントしている。
同事業は、地上51階、地下4階、塔屋1階の複合商業施設で、敷地面積は約1万㎡、延べ床面積は約22万5000㎡。事務所、店舗、医療施設、住宅、駐車場など、さまざまな用途での利用が計画されている。2019年4月に実施設計、建築確認を開始し、2020年10月1日に着工。2025年4月に竣工予定だった。国土交通省も優良な民間都市再生事業計画として認定していた。
東京労働局管内で死傷事故多発
東京労働局によると、同管内では8月末日までに建設業での死傷災害が620件発生。前年を54件上回るペースで事故が起きている。このうち「墜落・転落」は191件、「飛来・落下」は61件、「崩壊・倒壊」は30件。さらに7月と8月だけで6件もの死亡災害が発生している。主な原因は足場・作業床からの転落、コンクリートブロックの倒壊、熱中症などだった。
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