2022年12月から7か月連続で改善を続けてきた米住宅建設業者の景況感。8月は8か月ぶりに悪化へ転じたが、9月も引き続き悪化したことで5か月ぶりに「低調」を示すゾーンへと突入した。背景には7%を上回る住宅ローン金利の影響を受けた需要の低下や、熟練労働者・住宅用地・配電用変圧器の不足による供給への懸念の高まりがあるとみられている。
全米住宅建設業協会(National Association of Home Builders)がこのほど発表した2023年9月の「NAHB住宅市場指数(NAHB/Wells Fargo Housing Market Index)」は、前月比マイナス5の45ポイントだった。2022年を通して悪化が続いた米建設業者の景況感は2023年は一転改善を続けていたが、8月・9月と2か月連続で悪化してしまった。
NAHB住宅市場指数は、「一戸建て住宅販売の現状」、「今後半年間の一戸建て住宅の販売見込み」、「購入希望者の量」の3要素に対する住宅建設業者の認識を数値化したもの。50以下の数値は、住宅建設業者の景況感が低調であることを示す。
今月は指数を構成する3要素全てで数値が低下した。「一戸建て住宅販売の現状」は51ポイント(前月比マイナス6)、「今後半年間の一戸建て住宅の販売見込み」は49ポイント(前月比マイナス6)、「購入希望者の量」は30ポイント(前月比マイナス5)となった。全要素で悪化という点もそうだが、各数値の低下幅を見ても米建設業者の景況感が顕著に悪化していることがわかる。
地域別指数の3か月移動平均は、全地域において前月比で低下した。北東部は54ポイント(前月比マイナス2)、中西部は42ポイント(前月比マイナス3)、南部は54ポイント(前月比マイナス4)、西部は47ポイント(前月比マイナス3)となった。
全米住宅建設業協会のチーフエコノミスト、ロバート・ディーツ氏は「長期金利が低下するまで住宅購入を先延ばしにする購入者が増えていることから、住宅ローン金利の高騰が建設業者の景況感と消費者需要に打撃を与えていることは明らかだ」と述べ、さらに「建設業者が住宅供給を増やせるような政策を導入することが、国の住宅価格危機を緩和し、住居費のインフレを抑制する最善の策だ」と米政府に対応を促した。
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