米住宅市場を長期間にわたって悩ませている、住宅ローン金利の上昇と建設費の高騰。米一戸建て住宅市場全体が打撃を受けているが、その影響は大都市圏で最も顕著に表れているようだ。全米住宅建設業協会がこのほど発表した2023年第2四半期の「住宅建築地理指数」で明らかになった。
住宅建築地理指数は全米の建築状況を四半期ごとに調査するもの。米国の全てのカウンティ(群)が七つのカテゴリに分けられ、一戸建て住宅及び集合住宅の着工件数に関するデータを基にそれぞれの地域における住宅建設の伸びが測定される。
このほど発表された住宅建築地理指数は熟練労働者の不足や供給逼迫、住宅ローン金利の上昇などが米住宅市場を減速させていることを示しており、特に一戸建て住宅市場は全地域で前年比成長率の4四半期移動平均がマイナスとなった。
今四半期において最も建物の減少率が大きかったのは大都市圏中核郡で-24.8%、一方で小規模郡でも同様にマイナスだったものの、減少率は-8.7%と7地域で唯一1桁にとどまった。過去4年間の米一戸建て住宅市場シェアを比較しても、地方(小規模郡+その他)のシェアが2019年末の9.4%から2023年第2四半期に11.7%まで増加しているのに対し、大都市圏(中核郡+郊外)では49.8%と横ばいとなっている。
一戸建て住宅市場の不調を補うように成長していた集合住宅市場も、7地域中4の地域で前年比成長率の4四半期移動平均がマイナスとなった。その他(非大規模・小規模郡)の地域における成長率が26.6%と最も高く、大都市圏中核郡の成長率がマイナス10.6%で最も低かった。
全米住宅建設業協会のアリシア・ヒューイ会長は「2022年第2四半期から2023年第2四半期にかけて、住宅建築地理指数で測定された大小全ての地理的市場で一戸建て住宅の建設ペースが前年同期比の減少を記録したが、このレベルは底を打ったと予想される」と分析。さらに「FRBの引き締めサイクルが終わりに近づき住宅ローン金利が安定するにつれ、一戸建て住宅生産は今後数か月で成長を示すだろう」と市場の好転に期待感をにじませた。
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