罰則付き「時間外労働上限規制」の適用まで約半年と迫る中、約8割の中小工事事業者が対策を講じていない状態にある。建設業界の動向について調査・研究を行うクラフトバンク総研(東京都中央区)が9月21日に公表した「2024年問題に向けた工事会社の事務作業に関する動向調査」の中で、その実態を明らかにした。
《関連記事》約6割が時間外労働の上限を超過――日建連調査
同調査によると、社員数5~100人規模の中小工事事業者(回答者:1506人)のうち、83%が時間外労働の上限規制に対して「未対応」であると回答。さらに34%が「知らない」と答えている。「未対応」と答えた人の割合は、「職人」が85%、「事務員」が88%、「経営者」が74%だった。職人や事務員の間で理解が進んでいない様子がうかがえる。
また、全体の41%が「残業管理に課題あり」と回答。中でも職人が「全く管理されていない」(15%)、「不十分な管理をしている」(31%)と、残業管理に課題を感じている。一方、残業管理を「適切に行っている」と回答した企業についても、業務管理ツール(原価管理・施工管理)を利用しているのはわずか32%で、57%は手書きの勤怠や日報を使用し、35%はエクセルを使って管理をしている。
仕事で使用する連絡ツールについては、「電話」(82%)、「メール」(57%)、「LINE」(47%)など、ビジネスチャット以外のツールを使っている割合が高かった。
中小事業者の特徴として、経営者が自ら事務作業をすることが多く、経営者の52%が「見積作成」、41%が「実行予算作成」、40%が「売上原価集計業務」を行っていることも明らかになった。
■関連記事
クラフトバンクが工事会社に特化した経営管理システムを開発
建築業の半数以上が人材問題に苦慮 「2024年問題」直面
社員大工化と多能工化はセット 旧来の商習慣から脱却を
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。