国土交通省は9月19日、2023年7月1日時点の都道府県地価調査による基準地価を公表した。新型コロナの影響で弱含んでいた地価は、景気が緩やかに回復する中、地域や用途により差はあるものの、三大都市圏を中心に上昇が拡大。地方圏においても住宅地、商業地ともに平均で上昇に転じるなど、地価の回復傾向が全国的に進んだ。
全国平均では、全用途平均・住宅地・商業地のいずれも2年連続で上昇し、上昇率も拡大した。三大都市圏においては、全用途平均・商業地は、東京圏では11年連続、大阪圏では2年連続、名古屋圏では3年連続で上昇。住宅地は、東京圏、名古屋圏では3年連続、大阪圏では2年連続で上昇した。
地方圏でも、全用途平均・住宅地は31年ぶり、商業地は4年ぶりに上昇に転じた。地方4市(札幌市・仙台市・広島市・福岡市)では、全用途・住宅地・商業地のいずれも11年連続で上昇し、上昇率も拡大した。その他の地域でも、全用途平均は30年続いた下落から横ばいに転じ、住宅地は下落が継続しているが下落率は縮小。商業地は32年ぶりに上昇に転じた。
郊外にも地価上昇の範囲拡大
住宅地において変動率がプラスとなった都道府県の数は、昨年の14から今年は18に増加。変動率がマイナスの都道府県の数は昨年の32から今年は28に減った。
国交省では、都市中心部や生活の利便性に優れた地域などでは、住宅需要は堅調で地価上昇が継続しているとした。都市中心部の地価上昇に伴い、周辺部にも地価上昇の範囲が拡大している。特に、地方4市の中心部の地価上昇に伴い、需要が波及した周辺の市などでは、高い上昇となった。生活スタイルの変化によるニーズの多様化により、郊外部にも地価上昇の範囲が拡大している。一方で、地方部を中心に、人口減少の進展などにより、引き続き地価が弱含んでいる地点が見られるとも指摘している。
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