東京商工リサーチ(東京都千代田区)は9月15日、「全国女性社長」調査の結果を発表した。同社が保有する約400万社の経営者情報から、女性社長を抽出、分析したもので今回が12回目。2023年の全国の女性社長は、61万2224人(前年比4.8%増)で初の60万人超えとなった。「女性社長率」(全社長数に対する女性社長数の割合)は、前年比0.26ポイント増の14.96%だった。
女性社長数が最も多かったのは「サービス業他」の30万840人で、全体のほぼ半分(構成比49.1%)を占めた。女性が活躍しやすく、小資本で企業が可能な業種が中心で、喫茶店などの飲食業、美容業やエステティック業などが多い。次いで、不動産業が9万995人(同14.8%)で初の9万人台となった。建設業は3万3573人(同5.48%)だった。
女性社長率は、不動産業の24.82%(前年24.48%)がトップで、10産業のうち7産業で10%を超えた。一方、建設業5.35%(同5.33%)、農・林・漁・鉱業8.03%(同8.06%)など3産業が1桁台にとどまっている。
都道府県別で女性社長数が最も多いのは、東京都の15万5210人(前年15万1314人)だった。次いで、大阪府5万9655人(同5万5987人)、神奈川県3万9434人(同3万7029人)、愛知県3万1512人(同3万840人)、福岡県2万6597人(同2万5358人)と続いた。最少は、島根県1697人(同1661人)、鳥取県2158人(同2067人)と、山陰の2県が並んだ。「女性人口10万人当たり」の女性社長数は、東京が最多の2203人で、2年連続2000人超えとなった。大阪府は1309人で、前年2位の沖縄県1308人をわずかに上回った。最少の新潟県453人と、続く秋田県479人、山形県480人、島根県497人の4県で500人を下回った。
都道府県別の「女性社長率」は、飲食業などに女性社長が多い沖縄県が20.58%(前年20.62%)と20%を超えた。次いで、東京都16.98%(同16.76%)、茨城県16.77%(同16.06%)と続いた。一方、新潟県9.40%(同9.32%)、山形県9.68%(同9.45%)の2県は10%を割り込んだ。
地区別は前年と同順位で、1位の近畿15.88%(前年15.54%)、2位の関東15.71%(同15.44%)、3位の九州15.55%(同15.41%)が15%を超えた。上昇幅が最も大きかったのは0.39ポイント上昇した中国(4位、14.52%)で、最少は0.04ポイント上昇の北海道(5位、13.50%)だった。「女性人口10万人当たり」の女性社長数は、関東が1195人(同1133人)と最も多く、2位の近畿は1008人(同940人)と初の1000人台に達した。女性社長率は、関東で最も多い東京都が前年比2.5%増なのに対し、近畿の2府4県は平均5.4%増と堅調に推移しトップを維持した。
女性社長は、2010年の調査開始時の21万2153人から13年間で約3倍に増加。政府や自治体による女性の活躍推進の取り組みが結実し、緩やかながらも女性の社会進出が進んでいることがわかった。ただ、女性社長数の増加には、同族経営の高齢の代表者から妻や娘へ事業承継するケースもあるとみられる。
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