「全国の工務店仲間も同じことを言っているが、足もとの集客が確実に落ち込んでいる。それを意識して経営していく必要がある」。そう話すのは群栄美装(群馬県前橋市)専務の井野優一さんだ。同社は8月、高崎市内にいわゆる“断熱等級6.5”(住宅性能表示制度における断熱等級7と6の間)、耐震等級3(許容応力度計算)の性能を備える延べ床面積24.5坪のコンパクトな住宅を完成させ、施主の協力を得て通常より長い3週にわたる土日を利用して見学会を行った。住宅の価格が高止まりするなか、これまでより幅広い“普通の層”に対して「手が届く性能、デザインに優れる住宅」をアピールする狙いだ。
30代の夫婦と子ども2人の4人が暮らす同住宅は、施主が好きなレストランの山小屋風の外観や雰囲気をモチーフにした、5寸勾配の切妻屋根と無塗装のスギ板を鎧(よろい)張りで仕上げた外壁が特徴的だ。セランガンバツ材の広いウッドデッキを設け、広い敷地を生かしながら、同社の家づくりの特徴の1つでもある豊かな植栽を配した。井野さんは「経年変化で味わいを増していく素朴な小屋のような雰囲気も宿す家で、子どもたちと庭遊びなども楽しみながら豊かな暮らしを営んでほしい」と思いを語る。
全体の形を整え廊下なくす
施主の予算を踏まえ、延べ床面積24.5坪とコンパクトなサイズにしつつ、玄関を入ってすぐにLDKを配置するなど、廊下をなくすことで狭さを感じさせない居住空間を確保した。井野さんはコンパクトな住宅を設計する際のポイントについて・・・
この記事は新建ハウジング9月20日号7面(2023年9月20日発行)に掲載しています。
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