帝国データバンク(東京都港区)は9月14日、「企業におけるSNSのビジネス活用動向アンケート」の結果を発表した。有効回答企業数は1022社。ツールとしてSNS上に企業アカウントを持ち、社外に向けて「活用している」企業は40.8%だった。規模別では、「大企業」が43.1%、「中小企業」が40.5%、うち「小規模企業」は39.3%と、規模が大きいほど活用割合が高い傾向にある。「活用していない」企業は57.2%だった。
業界別では、活用割合が最も高いのは「小売」(69.3%)で、全体を28.5ポイント上回り突出している。「建設」は35.2%、「不動産」は28.9%で、いずれも全体を下回った。個人消費関連の業種(「小売」「飲食店」「旅館・ホテル」「娯楽サービス」「教育サービス」)は、74.6%と全体を33.8ポイント上回り、「BtoC(一般消費者向けビジネス)」企業の多くでSNSが活用されていることがわかった。
活用しているSNS媒体は、「Instagram(インスタグラム)」が21.0%でトップ。画像や動画など視覚的なコンテンツで、商品や企業イメージなどが伝わりやすい点が理由だと考えられる。次いで、ホームページとして利用できるなどビジネスに特化した機能が豊富な「Facebook(フェィスブック)」(17.4%)、個人の利用率が高い「LINE(ライン)」(16.5%)が続いた。
規模別では、「大企業」「中小企業」ともに「Instagram」がトップとなった。ただし、「Instagram」と「YouTube」は、「大企業」が「中小企業」を大幅に上回っており、人材面・費用面で制約が多い中小企業では、画像や動画などのコンテンツ制作が難しいことがうかがえる。
社外に向けてSNSを「活用している」企業にその目的を聞いたところ、7割近くが「会社の認知度・知名度の向上」(67.6%)と回答。次いで、「商品・サービスのプロモーション」(59.2%)、「会社や商品等のイメージの向上」(42.4%)、「顧客とのコミュニケーションの促進」(41.2%)が続いた。一方、「営業・受注活動」(26.4%)、「採用活動での利用」(19.7%)、「ECサイトへの誘導」(14.4%)など、商品・サービスの受注や販売、人材募集にSNSを活用している企業は1~2割台にとどまった。
SNS媒体別では、「LINE」「YouTube」を除くすべての媒体で「会社の認知度・知名度の向上」がトップとなった。全体より5ポイント以上高かった項目は、「Instagram」が「会社の認知度・知名度の向上」(76.7%、全体比9.1ポイント増)、「会社や商品等のイメージの向上」(48.8%、同6.4ポイント増)など。「LINE」は「顧客とのコミュニケーションの促進」(58.6%)、「X(旧Twitter)」は「会社の認知度・知名度の向上」(74.8%)、「YouTube」は「商品・サービスのプロモーション」(66.9%)などが他媒体よりも高い。また、直接的な商品等の受注・販売目的については、「営業・受注活動」に「LINE」が、「ECサイトへの誘導」「採用活動での利用」に「Instagram」が活用されるケースが目立った。
インターネットの普及により、SNSを利用する個人の割合は2022年8月時点で8割に達しており、企業の情報発信ツールとしてもSNSの重要性が増している。今回の調査では、SNSを活用していない企業から「自社の業態がBtoBのため必要性を感じない」といった声のほか、人手不足や、SNSに関する教育を実施する余裕がないといった課題があげられた。また、情報漏洩などセキュリティ上の問題を懸念する声も寄せられている。SNSは国内外への情報発信、コミュニケーション手段として役割が大きくなりつつあり、費用面で比較的余裕のない中小企業にとって魅力的なツールといえる。
同社は、SNSを運用する人材の確保・教育や自社の活用目的に合った媒体の選定・使い分けなど、さまざまな対応が欠かせないものの、企業のSNS活用はますます拡大すると予測している。
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