防災科学技術研究所(茨城県つくば市)は12日、最新鋭の実験機を使った地震の再現実験を報道陣に公開した。長さ7.5メートルと6メートルの二つの岩石を重ね合わせた実験機は総重量約200トンで世界最大規模という。より自然に近い地震のメカニズムを解明し、南海トラフなど巨大地震の予測に役立てるのが狙い。
実験機は、油圧ジャッキなどで二つの岩石サンプルの上部と側面に力を加え、こすれ合わせることで断層の滑りを再現する。約4億円かけて8月に完成した。
この日公開された実験では、重ね合わせた岩石サンプルに上から約300トン、側面から約120トンの力を加え、岩石同士が1センチ動く間に100回程度の滑りを再現した。
甚大な被害が想定される南海トラフ地震では、マグニチュード8級の大地震が震源域の東西どちらかで発生した場合、残りの地域でも続発する可能性が高いとされている。
防災科研は、巨大岩石を使った実験機でより現実に即した地震を再現することで、南海トラフのような地震や連鎖するメカニズムの解明につなげたいとしている。
開発に携わった防災科研の山下太主任研究員は「再現実験で得た知見を基に、地震予測の研究につなげたい」と述べた。
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