国土交通省は9月8日、国家機関の建築物とその附帯施設での吹付けアスベストの使用実態について報告した。調査対象の8万1912棟のうち、2023年3月31日時点で、吹付けアスベストの飛散防止対策(封じ込め・囲い込み)を実施済みが265棟、飛散防止対策未実施が9棟、未調査の施設が1棟あることを明らかにした。
調査対象は、各省各庁の所管する国有の建築物。調査材料は吹付けアスベストとアスベストを含有する吹付けロックウールで、アスベスト(繊維状のアクチノライト、アモサイト、アンソフィライトなど)を重量比0.1%以上含有するもの。
飛散防止対策が未実施の施設は、東京高等裁判所庁舎、法務省東京法務局九段第2合同庁舎、財務省関東財務局高円寺住宅(宿舎)、厚生労働省中央合同庁舎第5号館(庁舎)、経済産業省特許庁庁舎など。いずれも使用箇所への立入禁止などの措置は行われている。未調査の施設は環境省原子力規制委員会双葉宿舎(福島県)。一部を除いて、2024年以降には対策を実施するとしている。
同調査は、2005年に行われた「アスベストに関する関係閣僚会合」のフォローアップ調査として毎年実施しているもの。国家機関の建築物におけるアスベストの飛散・ばく露に対応するため、緊急性の高い施設から順に除去するよう要請している。また、アスベスト使用が明らかになった建築物については、飛散防止の措置状況のフォローアップ調査を行っている。
他にも、学校や病院、社会福祉施設、公共職業能力開発施設、灌漑(かんがい)排水施設、下水道施設、公営住宅などについても早急な対策を求め、関係省庁を通じてフォローアップを実施している。
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