信用調査会社・帝国データバンクが9月10日発表した「全国企業倒産集計2023年8報」によると、建設事業者の倒産増加に歯止めがきかない状況となっている。
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負債1000万円以上の法的整理による建設事業者の倒産は、2023年8月31日までに1082件に達した。2022年通年の倒産件数1204件に迫る勢い。8月までの累計で1000件を突破したのは2017年以来のことで、このペースで推移すれば、年内の建設業の倒産は1600件を超える見込み。過去5年で最多となることが確実となっている。
倒産の要因のうち、2割は鉄骨や木材などの建設資材の高騰によるもの。さらに多いのは人手不足で、特に中小建設業者では建築士や施工管理者などの有資格者が離職・独立するなどして、工事が受注・施工ができなくなったことが、倒産の引き金となるケースが目立っているという。他に工期の長期化も一要因となっている。
同社の調査によると建設事業者のうち44.1%が、人手が「やや不足している」と回答。18.4%が「不足している」、5.8%が「非常に不足している」と回答しており、合わせて約7割の事業者が人手不足に悩んでいるという結果となった。
さらに追い打ちを掛けるように、2024年4月から時間外労働の上限規制が建設業にも適用されることから、人手不足が一層深刻化することは避けられない状況。「地方では業者の淘汰や人手不足で家が建てられない、道路の修繕が進まない、といった事態が多発する可能性が高まっている」と警告している。
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