ドイツ連邦議会は9月8日、新たに設置する暖房の燃料に、少なくとも65%の再生可能エネルギーを使用することを義務付ける法案を可決した。天然ガスや石油を主な燃料とする暖房の新設を原則禁止する内容で、来年1月から適用される。ロシアによるウクライナ侵攻を受け、調達先をロシアに依存していた天然ガスが不足し、エネルギー危機に陥ったことを踏まえ、当初の導入予定から1年前倒しした。
ドイツでは現在、大半の家庭で化石燃料のみを使う暖房が採用されているが、今後は電気を使って効率良く熱源をつくる「ヒートポンプ式」の暖房などへの切り替えが想定される。この分野で先行しているダイキン工業やパナソニックなど日本メーカーの追い風になりそうだ。
ハーベック経済・気候保護相は「気候保護の中核をなす分岐点だ。エネルギーの安全保障が強化される」と強調した。消費者の負担軽減のため、最大70%の資金援助プランを用意。例外を認める移行期間も設けた。法案を巡っては、連立与党内の対立や、拙速な審議日程に対する野党の反発など大きな混乱を招き、ショルツ政権の支持率低下の一因となっていた。
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