国土交通省は8日、建設業の人材確保に向け、受注者と発注者の間の工事契約適正化に関する対策をまとめた。技能労働者に適切な賃金が支払われるよう国が賃金の目安を示し、受注者が不当に低い金額で工事を請け負うことを禁じるのが柱。建設業法の改正案を来年の通常国会に提出する。
同日開かれた中央建設業審議会と社会資本整備審議会の小委員会で中間取りまとめを示し、了承された。
それによると、公共工事の予定価格算出に用いる「設計労務単価」を参考に、中央建設業審議会が職種別に賃金の目安となる「標準労務費」を提示。これを大きく下回る水準での受注を禁止し、下請け事業者の賃金にしわ寄せが及ぶのを防ぐ。違反した事業者に対して国や自治体が勧告する仕組みも設ける。
この他、建設資材の高騰などで追加費用が必要になった場合、負担が受注者に偏らないようにする対策も盛り込んだ。金額や工事内容をどう変更するか定めた条項をあらかじめ契約書に記載することや、契約変更時に受注者と発注者の双方が誠実に協議することを法律に明記する。
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